2013-02-26から1日間の記事一覧

『景徳伝灯録』

愁人愁人に向かって道(い)うこと莫かれ、愁人に向道すれば人を愁殺す。 心配事のある人が、同じように心配事のある人に話をしてはならない。お互いの心配をさらにつのらせるばかりである。

魯迅『再論雷峰塔的倒掉』(『墳』所収)

瓦礫の原にいることはまだ悲しむに足りない。瓦礫の原で旧例を補修することこそ悲しむべきことだ。

チェーホフ「三人姉妹」(神西清 訳)

ヴェルシーニン 二、三日まえ僕は、あるフランスの大臣が獄中で書いた日記を読みました。その大臣は、例のパナマ疑獄で有罪になった人です。それがね、じつに陶酔的な感激口調でもって、獄窓から眺めた小鳥のことを述べている。大臣をしていた頃は、気にもと…

チェーホフ「かもめ」(神西清 訳)

ソーリン (髯をしごきながら)これで一生、たたられたよ。わたしは若い時分から、飲んだくれそっくりの風采――とまあいった次第でな。ついぞ女にもてた例(ため)しがない。(腰かけながら)妹のやつ、なぜああ、おかんむりなんだろう? トレープレフ なぜかっ…