2013-05-29から1日間の記事一覧

川端康成『たんぽぽ』

「ものは考えよう」は、ものを考えまいとする、ずるいごまかしですよ。

武田泰淳『森と湖のまつり』

美しい肉体は亡びやすいが、美しい精神は永久に輝くと、お前さん方は言いたいんだろ。だがおあいにくさまに、その「精神」がやっぱり年をとるんだ。

寺田寅彦『備忘録』

もたないピアノに狂いようはない。咲かない花に散りようはない。 *いわゆる「人格者」と称せられる人の多くは、「心のピアノ」を持たず、調律師など必要としないことの理由を述べたもの。

バルガス=リョサ『緑の家』(木村榮一 訳)

「人間誰しも、一度は死ななきゃならん!」

バルガス=リョサ『緑の家』(木村榮一 訳)

「恐怖というのは愛と同じで、誰でもそれに取り付かれるんだよ、チュンガ。」 「まるで学者みたいな口をきくんだね」とラ・チュンガが言い返した。

バルガス=リョサ『緑の家』(木村榮一 訳)

「いざという時になると、男って案外だらしないもんだよ」とラ・チュンガが言った。 「男がみんなそうだってわけじゃないですよ」とボーラスが言い返した。

バルガス=リョサ『緑の家』(木村榮一 訳)

「世の中に地獄よりも恐ろしいものがあるかね?」とアキリーノが言った。「それでも人間は懲りもせず罪を犯すんだ。恐ろしいからと言って、止(や)めるもんじゃないよ、フシーア」

バルガス=リョサ『緑の家』(木村榮一 訳)

「あんたの地図をふたりで燃やしたことがあったろう、憶えているかね……」とアキリーノが尋ねた。「あんなものはくその役にも立ちゃあしない。地図を作った連中はこのアマゾン地方が片時もじっとしていない、燃える女みたいなものだってことが分かっていない…