2013-07-21から1日間の記事一覧

瀧井孝作『積雪』

老父は七八日病臥したらしかった。病臥して介抱などそうあてにせず、覚悟のよい大往生のようであった。裏に出ると、中庭に丈余の積雪が、軒端まで堆高く、氷りつめた固雪が縁端に白壁築いた姿であった。これで座敷は雨戸がなく直接冷やされていた体で、室内…