2013-08-02から1日間の記事一覧

永井龍男『風ふたたび』

数番の仕掛花火が、終りを告げたばかりらしく、濃い一面の白煙が、ほのかに余燼に映えつつ、川上へもうもうと吹き上げられていた。対岸のビルの灯も、川を渡る総武線の灯も、その中に見えがくれした。 ほっと一息入れた川筋を見下していると、乱れ乱れたざわ…