2013-08-24から1日間の記事一覧

森鷗外『山椒大夫』

炉の向側には茵(しとね)三枚を畳(かさ)ねて敷いて、山椒大夫がすわっている。大夫の赤顔が、座の右左に焚いてある炬火(たてあかし)を照り反して、燃えるようである。三郎は炭火の中から、赤く焼けている火筋(ひばし)を抜き出す。それを手に持って、暫く見て…