2014-02-28から1日間の記事一覧

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』(若島正 訳)

二〇代から三〇代前半にかけて、私は自分の苦悩をはっきり理解していたわけではなかった。肉体は何を渇望しているかわかっていても、肉体の訴えを心がことごとく退けてしまうのだった。あるときは羞恥心や恐怖を覚えても、またあるときには無軌道なまでに楽…

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』(佐藤亜紀 訳)

ロリータ。我が命の光、下腹の炎。我が罪。我が魂。ロ、リー、タ。舌先が三歩、後ろに下がり、三歩目に軽く歯を叩く。ロ。リー。タ。 朝、四フィート十インチで片足だけソックスを履いて立つ彼女はロ、ただのロだった。スラックスの時にはローラ。学校ではド…