2014-11-03から1日間の記事一覧

谷崎潤一郎『春琴抄』

程経て春琴が起き出でた頃手さぐりしながら奥の間に行きお師匠様私はめしひになりました。もう一生涯お顔を見ることはござりませぬと彼女の前に額づいて云つた。佐助、それはほうんたうか、と春琴は一語を発し長い間黙然と沈思してゐた佐助は此の世に生れて…