2015-01-21から1日間の記事一覧

飯田蛇笏

芋の露連山影を正しうす

岡本かの子

力など望まで弱く美しく生れしまゝの男にてあれ

宮沢賢治「屈折率」

七つ森のこつちのひとつが 水の中よりもつと明るく そしてたいへん巨きいのに わたくしはでこぼこ凍つたみちをふみ このでこぼこの雪をふみ 向ふの縮れた亜鉛の雲へ 陰気な郵便脚夫のやうに (またアラツディン 洋燈(ラムプ)とり) 急がなければならないのか

徳冨蘆花「不如帰」

上州伊香保千明(ちぎら)の三階の障子開きて、夕景色を眺むる婦人。年は十八九。品好き丸髷(まげ)に結いて、草色の紐つけし小紋縮緬の被布を着たり。 色白の細面、眉の間やゝ蹙(せま)りて、頬のあたりの肉寒げなるが、疵と云へば疵なれど、瘠形のすらりと静淑…