2015-01-31から1日間の記事一覧

長谷川かな女

羽子板の重きが嬉し突かで立つ

佐々木信綱

ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一(ひと)ひらの雲

中原中也「サーカス」

幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました 幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました 幾時代かがありまして 今夜此処での一と殷盛(さか)り 今夜此処での一と殷盛り サーカス小屋は高い梁 そこに一つのブランコだ 見えるともないブランコだ 頭倒さに手を垂…

泉鏡花「歌行燈」

「やあ、大事な処、倒れるな。」 と源三郎すつと座を立ち、よろめく三重(みへ)の背(せな)を支へた、老(おい)の腕(かひな)に女浪の袖、此の後見(こうけん)の大磐石(だいばんじやく)に、みるの緑の黒髪かけて、颯(さつ)と翳(かざ)すや舞扇は、銀地に、其の、雲…