2015-08-17から1日間の記事一覧

中井正一『美学入門』

「訣別する時に、初めて、ほんとうに遇えたのだ。」といえるような弁証法的な自分への対決を、自分に強いる時がある。 「美のもろさ」はそれである。美は、飛んでいく鳥が、目をかすめるほど、たまゆらを閃くものであるというのはそれである。そこに初めて、…

中井正一『美学入門』

この線にそって、生まれてきたのがベルグソンの哲学、あるいは、ハイデッガーの哲学となってきたともいえるのである。 この時代の知識人は、多かれ少なかれ、ダダイズムのいうところの、ただ自分に向って、「いやだ、いやだ。」と駄々ッ子のように、かぶりを…

中井正一『美学入門』

「今」と「ここ」に生きていることを生き生きと自分にいいきかせうる自由な魂が、自分の中に姿を現わす時、初めて私たちは自然を見、人生を見、自分を見ることができるのである。そしてその時初めて、自分自身にめぐりあったともいえるのである。 かかる生き…

中井正一『美学入門』

私も、戦争に反対したというので、特高に引っ張られて、なぐられたり、なぐられるよりもっとひどい目にあった時、この世界に、論理の通らない世界のあること、この人民を守る国家機関の中に、論理がなく、かつ人民を苦しめることが、公然とゆるされているこ…