2015-08-25から1日間の記事一覧

ヴァルター・ベンヤミン「複製技術の時代における芸術作品」(高木久雄・高原宏平 訳)

映画は、礼拝的価値をよせつけない。それは、単に映画が観客に審査員の姿勢をとらせるからだけではない。映画館内でのこの観客の審査の姿勢がいかなる精神の集中をも必要としない、という事情にも基づいているのだ。観客はいわば試験官である。だが、きわめ…

ヴァルター・ベンヤミン「複製技術の時代における芸術作品」(高木久雄・高原宏平 訳)

ところが映画館のなかでは、観客の批判的態度と享受的態度とは、完全にひとつに融けあっている。このばあい、個人個人の反応の総和が観客全体の反応を形成するわけであるが、映画館以上に、個人の反応が、その結果であるはずの集団の反応によって、あらかじ…