2015-11-20から1日間の記事一覧

太宰治『パンドラの匣』

献身とは、ただ、やたらに絶望的な感傷でわが身を殺す事では決してない。大違いである。献身とは、わが身を、最も華やかに永遠に生かす事である。人間は、この純粋の献身に依ってのみ不滅である。しかし献身には、何の身支度も要らない。今日ただいま、この…

太宰治『パンドラの匣』

「自由思想の内容は、その時、その時で全く違うものだと言っていいだろう。真理を追及して闘った天才たちは、ことごとく自由思想家だと言える。わしなんかは、自由思想の本家本元は、キリストだとさえ考えている。思い煩うな、空飛ぶ鳥を見よ、播かず、刈ら…

太宰治『惜別』

「難破して、自分の身が怒濤に巻き込まれ、海岸にたたきつけられ、必死にしがみついた所は、燈台の窓縁。やれ、嬉しや、と助けを求めて叫ぼうとして、窓の内を見ると、今しも燈台守の夫婦とその幼い女児とが、つつましくも仕合せな夕食の最中だったのですね…

太宰治『惜別』

「文芸はその国の反射鏡のようなものですからね。国が真剣に苦しんで努力している時には、その国から、やはりいい文芸が出ているようです。文芸なんて、柔弱男女のもて遊びもので、国家の存廃には何の関係も無いように見えながら、しかし、これが的確に国の…

太宰治『惜別』

美女がくるりと一廻転すれば鬼女になっているというのは芝居にはよくある事だが、しかし、人間の生活においてそんな鮮明な転換は、あり得ないのではなかろうか。人の心の転機は、ほかの人には勿論わからないし、また、その御本人にも、はっきりわかっていな…

太宰治『惜別』

「真の愛国者は、かえって国の悪口を言うものですからね。」

太宰治『右大臣実朝』

「京都は、いやなところです。みんな見栄坊です。噓つきです。口ばかり達者で、反省力も責任感も持っていません。だから私の住むのに、ちょうどいいところなのです。軽薄な野心家には、都ほど住みよいところはありません。」

太宰治『右大臣実朝』

アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。