太宰治『惜別』

「文芸はその国の反射鏡のようなものですからね。国が真剣に苦しんで努力している時には、その国から、やはりいい文芸が出ているようです。文芸なんて、柔弱男女のもて遊びもので、国家の存廃には何の関係も無いように見えながら、しかし、これが的確に国の力をあらわしているのですからね。無用の用、とでも言うのでしょうか、馬鹿にならんものですよ。」