2015-11-24から1日間の記事一覧

谷川俊太郎「ネロ――愛された小さな犬に」

ネロ もうじき又夏がやってくる お前の舌 お前の眼 お前の昼寝姿が 今はっきりと僕の前によみがえる お前はたった二回程夏を知っただけだった 僕はもう十八回の夏を知っている そして今僕は自分のや又自分のでないいろいろの夏を思い出している メゾンラフィ…

クロード・シモン『フランドルへの道』(平岡篤頼 訳)

そして彼の父は依然として、まるで自分自身に話しかけでもするようにしゃべりつづけ、あの何とかという哲学者の話をしていたが、その哲学者のいうところによれば人間は他人の所有しているものを横どりするのに二つの手段、戦争と商業という二つの手段しか知…