谷川俊太郎「因果」

結果はたったひとつだが
原因の数はゴマンとあるよ
小さすぎて目にもとまらぬ原因から
大きすぎて目にはいらない原因まで
原因は人間とともに繁殖し
原因はレールとともにどこまでも続き
原因はボタ山のように積みかさなり
原因は廃坑のように忘れられ
或る日突然(のように)崩れおちる!
だが偶然ではない
必然なのだ
ゆっくりと時間をかけた必然なのだ
因果なことに