谷川俊太郎「子どもは……」

子どもはなおもひとつの希望
このような屈託の時代にあっても


子どもはなおもひとつの喜び
あらゆる恐怖のただなかにさえ


子どもはなおもひとりの天使
いかなる神をも信ぜぬままに


子どもはなおも私たちの理由
生きる理由死を賭す理由


子どもはなおもひとりの子ども
石の腕の中ですら