吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

文芸っていうのは、もう、手を抜きにしたら成り立たないもので、いくら頭で考えてもだめなんですよ。手を使わないで頭で考えてとか、文献を読んで思い浮かんでくるというのには、着想なるものはほとんど何にもないですからね。
 要するに、手を使わなければ何にもできないんですよ。頭だけ使って、手で考えてないようなのはだめなんだってことはわかってるんです。