2015-08-23から1日間の記事一覧

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

僕なんかでも銀行からお金を借りて、ローンで返すっていうことがあるわけだけど、それを一五年近くもやってて、つくづく感じたことは、結局、こういうふうに月々幾ら返すんだとか、返すのきついなあとか、そういうふうにお金っていうのを考えている限りは、…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

だから、名前っていうのを人にわからせたいという願望というか、もっと深層でいえば本能って言いましょうかね。それはかなり……宗教的に根強いものじゃないかなと思うんです。 だから、偶然性の要素が強いほど、名前の呪術性というか、宗教性は大きいですよね…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

そうしてみると、要するに「名前」というのは、その人の相当に根源的な部分に関わっているものがあることを意味しているものなんじゃないのかなって思ったんです。その人の、根源的な何かっていう、累代の蓄積みたいなもの、それが「吉本」っていう文字の中…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

才能とか素質とかっていうものは、何をするにも必要だってことじゃないし、邪魔になるってこともありますからね。 だから、自分だけが決めたことでも何でもいいから、ちょっとでも長所があると思ったら、それを毎日、一〇年続けて、それで一丁前にならなかっ…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

いつも言うことなんですが、結局、靴屋さんでも作家でも同じで、一〇年やれば誰でも一丁前になるんです。だから、一〇年やればいいんですよ。それだけでいい。 他に特別やらなきゃならないことなんか、何もないからね。一〇年間やれば、とにかく一丁前だって…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

でも、まあ、これから詩をやるんだってことで言えば、参考になるのは先に言ったプロの三人、谷川俊太郎さんと、田村隆一さん、吉増剛造さんですね。吉増さんは、ものすごいですよ。この人にかかると、何の意味もない「、」や「。」という句読点が、もう、何…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

文芸っていうのは、もう、手を抜きにしたら成り立たないもので、いくら頭で考えてもだめなんですよ。手を使わないで頭で考えてとか、文献を読んで思い浮かんでくるというのには、着想なるものはほとんど何にもないですからね。 要するに、手を使わなければ何…

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

ただ、死が自分のものじゃないってことが言えるだけでね。でもそれは十分、生きるための「抜け道」にはなったんですね。

吉本隆明[聞き手]糸井重里『悪人正機』

これは形而上的には考えていたはずなんですけどね、肉体としての死というものは、どうやら自分には属してないらしいぞということが実感的にわかったんで、それまでの考えを修正したわけです。

吉本隆明『ひきこもれ――ひとりの時間をもつということ』

たとえば物書きというのは虚業で、政治家の次くらいにくだらない職業ですが、それでも持続ということが大事であることは変わらない。才能がどうこう言っても、一〇年続けないと一人前にはなれません。 逆に言うと、一〇年続ければどんな物書きでも何とかなり…

吉本隆明『ひきこもれ――ひとりの時間をもつということ』

なるべく早く、引っ込み思案なら引っ込み思案の自分に合った仕事を見つけたほうがいいんだよ、ということは言いたいです。 なぜなら、どんな仕事でも、経験の蓄積がものを言うからです。持続ということは大事です。持続的に何かをして、その中で経験を積んで…

吉本隆明『ひきこもれ――ひとりの時間をもつということ』

「とにかく教師は生徒に向き合うべきだ」という考えには、子どもを「指導」してやろうという、プロを自認する教師の、ある種思いあがった気持ちがあります。そんなことをしなくても、毎日後ろ姿を見ているだけで、子どもはいい先生を見抜きます。自分の好き…