長谷川龍生「友だちI」

鳴かない鳥が
枝という枝にとまって
偽一重まぶたを
見ひらいたままでいる。
だまって弱者と共倒れしていく大樹海の彼方に
灰のあたたかさ。
思考化声を知らない友だちを先にやれ
ひき裂かれる朝に目ざめない友だちを先にやれ
友だちの倫理とはかくなるものだ。
優者を 崖から
突きおとせ。