2015-01-29 丸山薫「砲塁」 孫引き引用 破片は一つに寄り添はふとしてゐた。 亀裂はまた頬笑まうとしてゐた。 砲身は起き上つて、ふたたび砲架に坐らうとしてゐた。 みんな儚い原形を夢みてゐた。 ひと風ごとに、砂に埋れて行つた。 見えない海――候鳥の閃き。