北川冬彦「戦争」

 義眼の中にダイヤモンドを入れて貰つたとて、何にならう。苔の生えた肋骨に勲章を懸けたとて、それが何にならう。


 腸詰をぶら下げた巨大な頭を粉砕しなければならぬ。腸詰をぶら下げた巨大な頭は粉砕しなければならぬ。


 その骨灰を掌の上でタンポポのやうに吹き飛ばすのは、いつの日であらう。