高橋新吉「断言はダダイスト」
DADAは一切を断言し否定する。
無限とか無とか、それはタバコとかコシマキとか単語とかと同音に響く。
想像に湧く一切のものは実在するのである。
一切の過去は納豆の未来に包含されてゐる。
人間の及ばない想像を、石や鰯の頭に依つて想像し得ると、杓子も猫も想像する。
DADAは一切のものに自我を見る。
空気の振動にも、細菌の憎悪にも、自我と云ふ言葉の匂ひにも自我を見るのである。
一切は不二だ。仏陀の諦観から、一切は一切だと云ふ言草が出る。
一切のものに一切を見るのである。
断言は一切である。
宇宙は石鹸だ。石鹸はズボンだ。
一切は可能だ。
扇子に貼り付けてあるクライストに、心太がラブレターを書いた。
一切合財ホントーである。
凡そ断言し得られない事柄を、想像する事が喫煙しないMr.Godに可能であらうか。