ニーチェ「遺された断想」

　私たちの感覚はある特定の量を中心に据えており、その範囲内で機能している。すなわち私たちは、私たちが生存できる条件との比較において、大きいとか小さいとかを感じるのである。もしも私たちが私たちの感覚を十倍鋭敏にするか、十分の一に鈍麻させるならば、私たちは破滅してしまうだろう。要するに私たちは、大小関係といえども、私たちの生存可能性との関連で、質として感じているのである。
　量はすべて質が生まれる兆しではないだろうか？

　　　※太字は出典では傍点