マキアヴェッリ『政略論』

 君主は、民衆がなにか誤りを犯したとしても苦情を言うことはできない。
 なぜなら民衆の犯した誤りは、統治者側の怠慢からか、そうでなくても、統治者が犯したことを、彼らもまた踏襲しているにすぎないからである。
 リヴィウスは言っている。
「大衆は常に、政治を行う者を模倣する」
 ロレンツォ・デ・メディチも、これに同意見だったらしく、次のような言葉を残している。
「君主が行うことを、大衆もまた行う。なぜなら、彼らの視線は、常に、統治者に向けられているからだ」