マキアヴェッリ『君主論』

 君主は、新しく君主になった者はとくに、地位獲得の当初は敵に見えた者のほうが、もともと味方であった者よりも役に立つことが多いということを、知っておく必要がある。
 なぜなら、敵と見られていた人々は、その評判を消したいという想いからなお、君主のために精を出すようになるからである。
 反対に、もともと味方と思われていた者は、そうまでする必要を感じないのが普通である。
 それで、役に立つということならば、しばしば、もとからの味方より、かつては敵であった者のほうが、有益であるという場合が少なくない。