マキアヴェッリ『君主論』

 人を率いていくほどの者ならば、常に考慮しておくべきことの一つは、人の恨みは悪行からだけでなく善行からも生れるということである。
 心からの善意で為されたことが、しばしば結果としては悪を生み、それによって人の恨みを買うことが少なくないからである。
 このような場合の善行は、まったく、善意によってそれを為したものの、仇(あだ)になってしか返ってこないものだ。