ニーチェ『教育者としてのショーペンハウアー』

 誰も君のために、ほかならぬ君が人生の河を渡るための橋を造ることはできない。君ひとり以外には誰もできないのだ。確かに数えきれない小道や橋が存在するし、君をかついで河を渡してやろうというお偉方も存在する。しかしそれは君自身を代償にしての話にすぎない。そんなことをしてもらえば君は自分を抵当に入れることになり、自分を失うことになるだろう。