ドストエフスキー『白痴』(木村浩 訳)

「それから、ついでに申せば私どもは、見たところまるで種類のちがう人間です……いろいろな点から見てですね。ですから、とても共通点なんて多くはなさそうに思われます。しかし、私自身としては、そういう考え方をとりたくないのです。なぜなら、私どもが共通点なんかないと思われる場合にも、案外それがあるものなんですから……こうしたことは人間の無精から生れることなんです。人間というものはおたがいに見た目ばかりで分類されてしまって、肝心なものは何ひとつ認めることができないんです……」