ジャン・ジュネ『泥棒日記』(朝吹三吉 訳)

わたしはわたしの愛情を徒刑囚たちに捧げた。わたしは、可憐な名前で彼らを呼び、貴重なものを蔽うために、最も微妙な暗喩を使って彼らの罪を言い表わすことを欲したのだった(しかしどうしてわたしは、そうしたヴェールの下の、あの殺人者の豪奢な筋肉組織を、その性器の強暴さを知らずに過したはずがあろう)。この姿においてこそ、わたしはギュイヤーヌの彼ら徒刑囚を脳裏に描くのを好むのだ――すなわち、最も逞しい連中、隆々と勃起した、最も「強硬な」徒刑囚たちの、蚊帳の網布(チュール)に被われた姿を……。そして、どの花もわたしの心の奥に深い悲しみを残すので、わたしには花はすべて悲哀と死を意味するとしか思えない。わたしは、つまりは、徒刑場との関連において愛を追求してきたのだ。わたしの場合、恋の一つ一つがわたしに徒刑場への望みをいだかせ、それを垣間見させ、わたしに犯罪者たちを与え、わたしを彼らに与え、でなければ犯罪へと誘うのであった。