レイ・ブラッドベリ『火星年代記』(小笠原豊樹 訳)

「ちょっと耳を貸して下さい」と、疲れた隊長は赤い目をして言った。「われわれは地球から来たのです。ロケットでです。われわれは四人、隊長と乗務員、非常に疲れて、空腹でどこか眠れる場所をさがしています。だれかから町の鍵か何か、そういうものをわたしてもらって、どなたかに握手されて、『ばんざい』とか、『おめでとう、よくやった!』とか言って欲しいのです。要するに、それだけのことです」