ゴッホ『ファン・ゴッホ書簡全集』(アントウェルペン 一八八五年一二月一九日ごろ)(二見史郎 訳)

しかし、ぼくはカテドラルよりは人びとの眼を描きたい。カテドラルがいかに荘厳で、圧倒するような印象を与えようと、そこにはない何かが人間の眼にはあるからだ。一人の人間――それが哀れなルンペンであろうと、夜の女であろうと――の魂はぼくの眼にはもっと興味深いものなのだ。