アウグスティヌス『告白』(服部英次郎 訳)

こうしてこの九年間、わたしの十九歳から二十八歳まで、わたしたちはさまざまな欲望に、みずから迷わされ、人を迷わし、みずから欺かれ、人を欺いた。そしておおやけには自由学科とよばれる学問を鼻にかけ、ひそかには宗教の名をかたって、一方ではうぬぼれが強く、他方では迷信が深く、いずれにおいても空虚であった。