セザンヌ『セザンヌ 絶対の探求者』(ジョアシャン・ガスケとの対話)(山梨俊夫 編訳)

花はあきらめた。すぐに枯れてしまう。果物のほうが忠実だ。果物は肖像を描いてもらおうとしている。色褪せていくのをあやまっているかのようにそこにある。香りとともに果物の考えていることが漂ってくる。果物たちは、さまざまな匂いのうちにあなたのもとにやって来て、収穫された畑や育ててくれた雨のこと、ひっそり見ていた曙のことを話してくれる。