マルク・ブロック『封建社会』(堀米庸三 監訳)

封建時代のヨーロッパにおける乳児の死亡率がはなはだ高かったことは、まずまちがいのないところだが、このことは、ほとんど常態であった喪に対して人の感情をにぶらせずにはおかなかった。大人のほうはどうかといえば、戦禍による不慮の死を別にしても、その生命はいまとくらべて概して短かった。……老化現象は、ひじょうに早く、現代でいえば壮年期から現われたらしい。以下みるように、みずから年老いていると感じていたこの世界は、実は、若年の人々によって動かされていたのだ。