オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(神吉敬三 訳)

群衆はとつじょとして姿を現わし、社会における最良の場所を占めたのである。以前には、群衆は存在していたとしても、人目にはふれなかった。群衆は社会という舞台の背景にいたのである。ところが今や舞台の前面に進み出て、主要人物となった。もはや主役はいない。いるのは合唱隊(コーロ)のみである。