丘浅次郎「疑いの教育」

初等教育においては、宜しく、信ずる働きと疑う働きとを何(いず)れも適当に養うことが必要である。疑うべき理由の有ることは何処までも疑い、信ずべき理由を見出したことは確(たしか)にこれを信じ、決して疑うべきことを疑わずに平気で居たり、また信ずべき理由の無いことを軽々しく信じたりすることの無い様に、脳力の発達を導くのが、真の教育であろう。