ランボー「ジョルジュ・イザンバール宛書簡」(一八七一年五月一三日)(木田元 訳)

いまはできるかぎり身をもちくずそう。なぜって、私は詩人になろうと思っているのだし、見者になろうと努めているからです。……すべての感官を錯乱させることによって未知のものに到達することが肝要なのです。大変な苦痛ですが、そのためには強くなければならず、生まれついての詩人でなければなりません。そして、私は自分が詩人であることに気づきました。……われ思う、なんて言うのは間違いです。人われを思う、と言うべきでしょう。……私とは一個の他人なのです。

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