袁枚『随園食単』(青木正児 訳注)

味は濃厚(こってり)を要するが、油膩(あぶらこく)てはいけない。味は清鮮(あっさり)を要するが、淡薄(みずくさく)てはいけない。この似て非なる間隔の一毛一厘の差は、これを誤ると千里も離れることになる。濃厚(こってり)とは精を取ること多くして糟(かす)を去ることをいうのである。もしいたずらに肥膩(あぶらこき)を貪るならば、もっぱら豚脂を食うに越したことはない。清鮮(あっさり)とは真味が出て俗塵のないことをいうのである。もしいたずらに淡薄(みずくさき)を貪るならば水を飲むに越したことはない。