小林一茶『おらが春』

「親のない子はどこでも知れる、爪を咥(くわ)へて門(かど)に立(たつ)。」と子どもらに唄はるゝも心細く、大かたの人交(まじわ)りもせずして、うらの畠に木・萱など積たる片陰(かたかげ)に跼(かがま)りて、長の日をくらしぬ。我身(わがみ)ながらも哀(あわれ)也けり。
  我と来て遊べや親のない雀   弥太郎 六才