寺山修司『さかさま博物誌 青蛾館』

しかし、『読む』ことによってたちまち、価値は増える。それは、体験を理念に変え、『自分自身であること』を『自分自身であろうとすること』に変えるからである。書物は、それ自体では、欠落だらけの真実を補完し、いつのまにか私たちに幻想によるべつの真実を多くもたらしてくれる。