寺山修司『さかさま博物誌 青蛾館』

『人生いたるところに机あり』なのである。
 もともと、机という『ものを書くための台』が製造販売されるようになってから文学者は書斎という座敷牢に自己監禁するマゾヒスティックな快楽の虜になり、街のダイナミズムから遠ざかってしまった――というのが私の持論である。机とは『在る』ものではなく『成る』ものなのだ。