マンスフィールド「園遊会」(崎山正毅 訳)

 ローラは首をふった――しかし、泣いていた。
 ローリーは妹の肩に腕をまわして「泣くんじゃないよ。」と暖かく、やさしい声でいった。「こわかったのかい?」
 「いいえ。」とローラはすすり泣きながらいった。「ただ不思議なの。でもお兄さん……」と彼女はいってから、ちょっと黙って彼の顔を見た。「人生って……」と彼女はどもりながらいった。「人生っていうのは……」
 しかし、人生がなんなのか、彼女には説明できなかった。それでもよいのだ。兄はすっかりわかってくれた。
 「そうだろうね、ローラ。」とローリーはいった。