竹内敏晴『教師のためのからだとことば考』

 人と人とのまじわりは、根元的に、わたしがあなたとふれ合うことに始まる、とわたしは考える。だが、相手に「ふれる」と願う行為の最も大きな盲点は、実は自分の思い込みや習慣の内に他人を取り込もうとしているのだと気づくことが極めて難しいことにある。
 言いかえれば、相手が自分とは全く異った「他者」であることを、突きつめて考え、向かい合うことがほんとにできるか、ということになる。