日本戦没学生記念会編『第二集 きけ わだつみのこえ』

あきらめきれない秒時計の針がまわってゆく。
私の突撃の時を、動きのとれない時と
それでも、そっと恐れてみることもあるのだ。
うわすべりだったためにのみ
私は今まで平気な冷淡な顔をしていた。
そして今、初めて今、私はほんとうに
私の過去を狼狽している。
あとひと月の生命に何の装飾もない私を
見つけだそうとしての私のあがき。