ジョン・アップダイク「美術館と女たち」(岩元巌 訳)

ぼくたちが美術館の中で探し求めるものは、教会で求めるもの――以前に味わったことのある心やすらぐ神の祝福――とは正反対のものだ。むしろ、美術館では、ぼくたちはまだ人の手に触れられていないもの、以前に誰にも気づかれなかったものを探し求める。そして、美術館には、いくら探しても探しきれぬという感覚があるからこそ、ぼくたちはふたたび希望を持ち、そこへ足を運ぶことになる。