三島由紀夫『葉隠入門』

長い準備があればこそ決断は早い。そして決断の行為そのものは自分で選べるが、時期はかならずしも選ぶことができない。それは向こうからふりかかり、おそってくるのである。そして生きるということは向こうから、あるいは運命から、自分が選ばれてある瞬間のために準備することではあるまいか。