「掻痒記」内田百ケン

 看護婦がその上から、ぎゅうぎゅう包帯を巻いたので、すっぽり白頭巾を被った様な頭になった。巻き方が固くて、特に縁のところが締まっている為、何だか首を上の方に引き上げられる様でもあり、又首だけが、ひとりでに高く登って行く様な気持ちもして、上ずった足取りで家に帰って来た。