三井ふたばこ「みち(紘子に)」

あなたの髪を梳きつゝ
思うこと


わたしが死んでしまっても
なお のびつゞけるであろう
この愛しい髪


なお降りつづけるであろう
今日のような細い春雨


なお つゞくであろう
運命のうねった小径


この一瞬 わたしの櫛は
不気味な戦慄とともに
みしらぬ未来の国をかすめる


あなたの髪を梳きつつ
思うこと