吉蔵『死不怖論』

死は生(しょう)に依(よ)りて来たる。吾れ若し生ぜざれば何(なに)に因りてか死有(あ)らん。宜しく其れ生にて初まるを見死(し)にて終わるを知るべし。応(まさ)に生を啼(なげ)くべし。死を怖る勿れ。
〈解釈〉生有れば必ず死が有る。われわれが生まれなかったら、どうして死があるだろうか。人間の一生は生に始まり死に終わるという事実を知るべきである。だから死を怖れるよりも生を怖れるべきである。