道元『学道用心集』

若し人の賞翫(しょうがん)すれば、縦い非道なりと知るとも、乃ち之を修行す。若し恭敬讃嘆(くぎょうさんたん)せざれば、是れ正道(しょうどう)なりと知ると雖も、棄てて修(しゅ)せず、痛ましいかな。
〈解釈〉もしも世間(よのなか)の人がほめそやせば、たとえ道理でないとわかっていても、あえてこれを行うし、逆にもしも世間の人が敬い讃めたたえなければ、これは正しい道理だとわかっていても、あえて棄てて行おうともしない。なんと心痛ましい限りであることか。